2015年1月1日木曜日

平成27年元日 天皇陛下 年頭に当たっての御感想/ 両陛下 御製御歌

【御感想】

 昨年は大雪や大雨、さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ、家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。

 また、東日本大震災からは四度目の冬になり、放射能汚染により、かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。昨今の状況を思う時、それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ、地域を守っていくことが、いかに重要かということを感じています。

 本年は終戦から七十年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。

 この一年が、我が国の人々、そして世界の人々にとり、幸せな年となることを心より祈ります。

「新年祝賀の儀」でお祝ひを受け、御退席遊ばされる天皇、皇后両陛下
=1日午前、宮殿・松の間(代表撮影)




 【天皇陛下】(3首)


 《神宮御親拝》
あまたなる人らの支へ思ひつつ白木の冴ゆる新宮(にひみや)に詣づ

 《来たる年が原子爆弾による被災より七十年経つを思ひて》
爆心地の碑に白菊を供へたり忘れざらめや往(い)にし彼(か)の日を

 《広島市の被災地を訪れて》
いかばかり水流は強くありしならむ木々なぎ倒されし一すぢの道

 【皇后陛下】(3首)

 《ソチ五輪》
「己(おの)が日」を持ち得ざりしも数多(あまた)ありてソチ・オリンピック後半に入る

 《桂宮宜仁親王殿下薨去》
み歎きはいかありしならむ父宮は皇子(みこ)の御肩(おんかた)に触れまししとふ

 《学童疎開船対馬丸》
我もまた近き齢(よはひ)にありしかば沁(し)みて悲しく対馬丸思ふ


昨年も例に漏れず数々の災害が発生しましたが、その度に現地に出御遊ばされ、或いは御言葉を御発し遊ばされ、国民を御激励になる両陛下の御姿には、只々恐懼するのみです。

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