2015年11月6日金曜日

明治天皇 御遺製

いにしへの(ふみ)みるたびにおもふかな
      おのが治むる國はいかにと


葦原の瑞穗の國のよろづ世も
      亂れぬ道は神ぞひらきし


さしのぼる朝日のごとくさはやかに
      もたまほしきは心なりけり

よきをとりあしきを捨てゝくに

      おとらぬ國となすよしもかな

うけつぎし國の柱の(ゆる)きなく
      さかえゆく世を尙いのるかな


あしはらの國富まさんとおもふにも

      あをひとぐさ民草たからなりける

ひらけゆくときにいよいよあふがれぬ
      ひじりの()よのたかき敎へは


鬼神(おにがみ)も泣かするものは世の中の
      人の心のまことなりけり


いかならむことにあひても(たは)まぬは
      わが敷島の大和だましひ


國の爲仇なす仇はくだくとも

      いつくしむべきことな忘れそ

國民(くにたみ)のちからのかぎり盡すこそ
      わが日の本のかためなりけれ

世の中の人におくれをとりぬべし
      進まむときに進まざりせば

(ひら)けゆくみちにいでゝも心せよ
      つまづくことのある世なりけり