米国人フルベッキに下し給へる勅語
(明治四年十月五日)〔史実〕
明治四年十月五日には、明治維新前後に於て、我が国の文化に貢献した多くの外国人に、優渥なる勅語を賜はつた。文部省雇米国人フルベッキ、同ドイツ人ミュルラ、同ホフマン、同ホルツ、工部省雇英国人カーケル、同ブラレトン、同仏国人ウエルニー、同チボジー等は、何れもみなその優詔を拝した人々であつた。これは、米国人フルベッキに下し賜はつた勅語である。
フルベッキは、西暦紀元一八三〇年(天保元年)に、オランダのノゼリストに生れ、アメリカに渡り、アアブルの神学校に学んだ。安政六年に来朝し、幕府の命により、八年間長崎に於て教育に従事し、明治二年、大学南校に聘せられて、語学・学藝の教師となり、明治六年まで在職し、後に政府の翻訳顧問となり、元老院に職を奉じた。ナポレオン法典を紹介し、医学に関する進言をなす等、明治初年の文化に貢献した功労は、頗る著しいものがあつた。就いて学んだ者の中には、新政府の首脳として活躍した者も少くなつた。
独逸国人ミュルラ及びホフマンに下し給へる勅語
(明治四年十月五日)
独逸国人ホルツに下し給へる勅語
(明治四年十月五日)
三浦藤作 謹解『歴代詔勅全集 第5巻』(河出書房、昭和15年)
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