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○道 に顕晦 有 り 道が明らかになつたり暗くなつたりすることがある。固有の道がよく行はれる時と行はれない時とがあるといふ意味。「顕晦」は、「明暗」と同じ。転じては、「世にあらはれると隠れる」ことの意味にも用ゐられる。「晋書」隠逸伝にある「君子之行 ハ塗 ヲ殊 ニス、顕晦之謂 也。」は、この用例である。
○惟神 の大道 神代から伝はれる大いなる正しい道。天照大神の遺したまうた皇道の意味。前出。
○宣教使 神道布教のために任命せられた者。
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〔大意〕
朕がつつしんで考へて見るに、我が遠い御先祖にまします神々や天皇は、皇位を定めて後の世にお伝へになり、御歴代の天皇は、これをうけつがせられた。祭祀と政治とは一致し、万民はみな心をあはせ、上の御政治や御教化が正しく行きわたり、下の風俗がまことに美はしかつた。しかるに、中世このかた、世の中が衰へたり盛になつたりして、道の明らかによく行はれることと暗くなつて行はれないこととがあつた。今では、自然に時節がめぐつて来て、すべてのことがみな新らしくなつた。この際政治教化のことを明らかにして、さうして神代から伝はつて来た大道を大いに広く知らせなければならない。そこで、新に宣教使を任命して、天下に布教せしめるのである。汝等多くの臣も一般国民も、よくこの旨を心得よ。
〔史実〕
神霊鎮祭の詔を賜はつたその日、即ち、明治三年正月三日、明治天皇には、この祭祀尊重の御精神を広く一般国民の間に宣布したまふために、宣教使を任命して布教せしむべき旨仰せ出された。ここに謹載したのが、その詔である。これは、大教宣布の詔とも申上げてゐる。
三浦藤作 謹解『歴代詔勅全集 第5巻』(河出書房、昭和15年)
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